乳がん治療手記12

FEC2回目

2005年9月26日(月)   腋の下のしこりが

乳房のしこりの方は相変わらず変化が無いんだけど、腋の下にあるしこりが、何だか小さくなっているような......

I先生に腋下リンパ節のしこりを指摘された日、家に帰ってから自分で随分探して、丸いクリクリした1cm強のしこりを見つけていた。すでにリンパ節に転移していることは分かっていたけど、さすがにギョッとした。思っていたよりも乳房側の、かなり奥にあった。それから気になって毎日確かめてるんだけど、今日触ってみたら、それが心持ち小さくなっている気がする。

FECが効いてきてる......?


2005年9月29日(木)   FEC2回目、エピルビシン増量、抗がん剤漏れる

先日インターネットで情報集めをしていたら、抗がん剤の投与量について書いているものがあった。どの抗がん剤を使うのか、ということにばかり気をとられていて、投与量についてなどこれまで考えたことも無かった。

欧米等ではエピルビシン100mg/m2が主流になってきているけど、欧米人は肉ばかり食べていて日本人とは体のつくりが違う、日本では60mg/m2が標準、それより多い75mg/m2で始めて、副作用が酷いようだったら量を減らす、と最初の診察で説明を受けて、何の疑問も持たずに今まで来ていた。ところが、あちこちサイトを見ているうちに、エピルビシン75mg/m2というのは、ちょっと少ないのでは、と思い始めていた。

という訳で、今日はエピルビシンを100mg/m2に増やして貰いたい、と先生にお願いしよう、と意気込んで病院へ。

診察室に入って行くと、まずはこの前受けた乳腺エコーの結果を教えてくれる。
「しこりの状態は、全く変わっていない、という結果でしたねぇ」
ああ、やっぱりー。あんなにこだわったタキソテールは残念ながら、私には効かなかったわけだ。こうなると、ますますFECには頑張って貰わないと。

白血球数は4200で、なぜか前回投与1週間後よりも低くなってるけど、標準値内。

「ちょっと見てみましょか」
と今日は触診。
「何か、腋の下のしこりが小さくなってる気がするんですけど.......」
と言うと、
「うん、小さくなってるね」
と先生。ホント?!

コンピュータに今日の点滴の量を入力し始めたのを見計らって、
「あの、エピルビシンの量をm2あたり100mgに増やしたいんですが......」
と切り出すと、
「エピルビシンの量だけが全てじゃないんだけどねぇ。エピルビシンとエンドキサンのEC療法というのに、5−FUも加えてるから、量としてはこのままでも充分だと思いますけどね」
「でも75mgというのが、どうしても少ない気がして仕方ないんです......」
「......」
「腫瘍を小さくするという事だけでなく、全身に散ってしまったかもしれないがん細胞に対しても、後で後悔しないように、出来るだけのことをしたいので......」
「気持ちは分かります。でも、m2あたり100mgにすると、138mgになっちゃうよ。副作用がかなりキツくなりますよ」
「まぁ、それはそうでしょうけど、一度やってみたいと思うんですが」
「......保険適用になるのが、120mgまでなんですけれど」
「じゃ、120でお願いします」
と、八百屋での値切り合戦のような会話の後、先生はしぶしぶ、という感じでコンピュータの数字を変えてくれた。良かったー(^_^)。
「ありがとうございます!」
「キツいよー」
と、また先生。そんな、とことん脅かさなくても(^^;)...... でも、希望を聞いてくれて感謝です。これでがん細胞なんて一気に一網打尽にするぞ!


今日は点滴の針は右に刺して貰ってから、ちょっと計算してみた。エピルビシン120mg、ということは私の体表面積で割ると、約87mg/m2になる。うーん、100mg/m2まではちょっと遠いけど、少しでも増やして貰ったんだから、良しとするか。

と、思っていると、点滴している腕が何か冷たく濡れている感触があってよく見ると、テープを貼った辺りから透明の液が流れていた。

うそーーーー!漏れてる〜!!

すぐに看護師さんを呼ぶと、テープをはがして漏れた液を拭いてくれた。針に繋がっているプラスチックの接合部分が緩んでいるみたいで、それをぎゅっと留め直してくれる。5−FUを落としている時だったけど、腕に痛みとかも無いので大丈夫みたい。

今日もお弁当持参だけど、投与中はやっぱり食べられなかった。そしてあの鼻の奥のツーンとした痛み、あれが点滴終了と同時にまたやって来る。うー、気持ち悪いけど、前と同じくしばらくしたら治まったので、あまり気にせんとこう。


本日の支払い: 31,470 円也。
本日のお薬代:  1,140 円也。
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帰りにスーパーで、明日の吐き気に備えてクラッカーを購入。それと、バリバリと音を立てて食べる物が何か欲しくて、おせんべいの小袋も。

夕食は、両親と近所のレストランで、父の誕生日を祝う。誕生日は明日なんだけど、私が明日外食は無理だろうからと、今日になった。料理は中華で、食べて大丈夫かなーとも思ったけど、御馳走を目の前にして我慢出来るわけが無く、パクパク食べてしまった。前回投与日には、お寿司を食べて大丈夫だったし......

家に帰る途中、イノシシを2匹目撃。しかも見るからに若い、可愛いウリ坊たち。日中の気温はまだ高くて暑いけど、もうそんな季節なんだなぁ。
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2005年9月30日(金)   来た吐き気!

夜明け前、というか夜中に、強い吐き気で目が覚めた。前回は朝起きたらムカムカしていた、という感じだったのに、やっぱり量を増やしたからか、早目にやって来た。幸い、昨夜食べた中華料理は胃に残っていないようなので、吐くに吐けない、という状態。それでも何とか寝ついたかと思うと、また吐き気で目を覚ます、というのを何度も繰り返して、あまり眠れなかった。

朝起きたら、ムカムカが初回よりもやっぱり強い。体もだるくて、ほとんど1日中横になって過ごす。朝食はクラッカー。昼、夜はおかず少々と焼き芋。

吐き気は2〜3日で治まると思うので、あまり心配していないんだけど、怖いのがあの右脇腹痛。前回からの痛みがまだ残ってるけど、これがまたひどくなるのかなぁ......


2005年10月3日(月)   食欲復活、その他の副作用

大分気分が良くなって、食事の量も増えて来る。前回の事があるので、食べ過ぎないように、と思っていても食欲が戻るとついつい余計に食べてしまう。

腹痛は、ひどくなったような気もするけど、良く分からない。何かもう、常にお腹が痛い状態で、それに慣れてきてるみたい。

FEC投与開始してから他に気になる副作用は、匂いに敏感になったこと。特にシャンプーや整髪料、香水等の匂いがとても気になる。スーパーで、シャンプーやボディソープの置いてある辺りに近付いただけで、その匂いが鼻について、気分が悪くなる。


2005年10月4日(火)〜5日(水)  相棒の腹痛

イギリスの相棒から電話。お母さんが亡くなったことで発生した、色々な手続きが中々はかどらないらしい。荷物は結局あの後見つかって、今は湖水地方のユースホステルにいる。相棒もここ何日か腹痛に悩まされているらしい。どうしたんかな。

と心配してたら、医者に見て貰ってストレス性の胃炎と言われた、と次の日メールで知らせて来た。2週間分の薬を処方されて、今は大分いいらしい。相棒も色々と続いたからねぇ。うちの実家に泊まるのもかなりのストレスだったんかな......
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2005年10月6日(木)   血液検査・診察

投与1週間後の血液検査の日。白血球数は4000で、ほとんど減少無し。

「副作用は大丈夫でしたか。キツくなかったですか?」
と、I先生。
「吐き気は前よりちょっと強く出ましたけど。後、腹痛もまだ続いてます」
と言うと、
「強いですねぇ」
と先生。何でも、同じFEC投与した患者さんが副作用がひどくて、救急車で運ばれて来たのだそうだ。そんなにひどく出る人もいるんだ......私は副作用、楽な方なんだろうな。

等と思っていると、I先生が私の顔を見て、
「顔が黄色いですね。黄疸じゃないよね。ちょっと上見て」
と、私の目を調べる。
「私、もともと黄色いんですー」
「ああ、そう。何か黄色いな、と思って......さ、じゃ次回も120で行きましょう」
で、今日は終了。

本日の支払い: 1,270 円也。
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帰りに本屋さんで、久し振りに楽譜を買う。半袖を着て行ったら、帰りは肌寒かった。


2005年10月10日(月)   髪の毛とまつ毛

化学療法を始めるにあたり得た情報では、脱毛は頭だけでなく体毛や眉毛、まつ毛にまで及ぶ、ということだった。毛深い私としては、ヤッター、憧れのツルツル肌になれるんだ、なんて思っていた。

頭の毛はいち早く抜けてしまって、体の毛も、もうほとんど無いんだけど、なぜか、腕の産毛、と言うか私の場合かなり毛深い腕の毛は、しつこく残っている。一番無くなって欲しい場所なんだけどねえ。

眉毛とまつ毛も、全部無くなるものだと思っていたんだけど、元々がもじゃもじゃケンシロウ眉で、かなり濃かったので、散々抜けた後もまだ何とか健在。と言っても眉はかなり薄くなっているので、そろそろ書かないとだめかなぁ、と考えている。

まつ毛はそのままでもまだ大丈夫そう。抜け始めた時は、付けまつ毛を見て回ったりもしたんだけど。

で、頭の方に最近、5mm程の長さのひ弱い毛が、ポチポチと出て来ている。前は頭を撫でると、するっとした感触だったのが、今はか細い毛が手の平に当たるのが分かって、おおッ、と思う。

今までもちょこっと生えて来たのが、次の投与で無残にもまた抜けて......と言うのを繰り返してはいたけど、触ってみて、生えて来てる!と実感するのは、ハゲてからこのかた初めて。

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2005年10月14日(金)   ニュージーランドから帰国中の友人と話す

ニュージーランドに住んでいて、ちょうど今日本に一時帰国している友人と電話で話す。

彼女とは、去年ニュージーランドでちょっとした縁で知り合って、あちらではお互いの家を行ったり来たり、という付き合いをしていた。こういう事情で今年は向こうには戻れない、と話すと、いつもの明るい調子で、
「来年は絶対帰って来てな」
と、励ましてくれた。うん、来年は絶対帰るからね。暫く話をして、とってもパワフルでどこまでも明るい彼女の元気を少し分けて貰った。ありがとう(^^)。


2005年10月17日(月)   母九州へ、難曲(?)に挑戦!

九州の病院にいる祖母を見舞うため、朝の新幹線で母が出掛けて行く。

今まで1ヶ月に1度は行っていたんだけど、私の病気が発覚してから1度も行っていなかった。子供じゃないんだから、行ってくれても私は大丈夫、といつも言ってたんだけど、やっぱり後ろ髪を引かれるらしく、今まで伸ばし伸ばしになっていた。祖母の病院へは、長崎に住む叔母が定期的に通っているとは言え、もう4ヶ月にもなるし、私が調子のいい今の内に、という事で。2泊3日の予定。

この間久し振りに楽譜を買ってから、ピアノを弾く事が多くなった。それまでは、とてもじゃないけどそんな気分になれなかった。手術でリンパ節を郭清したら、ピアノは今まで通りに弾けるんだろうか、ということもあまり考えないようにしていた。

久し振りに弾いていると、今まで敬遠していたある曲を弾けるようになりたいなー、と強く思うようになった。ずっと憧れていたリストの「ラ・カンパネラ」。マスターしたい曲はたくさんあるんだけど、この曲は楽譜を見るからに難しそうで、今まで一度も弾いたことが無い。

手術の後では、これを練習するのは無理かも、と思い立って、練習を始めた。

いつもながら思い立つのが遅過ぎて、気が付けば手術までもういくらもない。とてもじゃないけどまともに弾けるようにはならないだろうけど、ま、久し振りに真面目に練習するのもいいかな。


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