乳がん治療手記17

手術翌日〜退院

2005年12月10日(土)   入院6日目・手術翌日

昨夜は、寝たり起きたりの繰り返しだった。時間が全然分からなかったので、朝までが長かった。

途中、巡回に来た看護師さんが、眠りの妨げになるからと、足に圧力を掛ける機械と、血圧計を外してくれる。

後遺症が残ったらエライこっちゃ、と目が覚める度に右手でボールを握ったり肘を曲げる体操をしていたら、
「そんなやる気満々でしなくても、明日からでもいいですよ」
と、看護師さん。まあ、ボール握ったまま、すぐに寝ちゃってたから、ろくにリハビリにはならんかったんだけど。

今朝の最初のイベントは採血。健側の左腕には点滴が入っているので、足首から!そんな所の血管から血採れるの?と思ったけど、さすがベテラン看護師さん、一発で成功。痛かったけど......

ベッドを起こして貰っている時、被っていたはずの毛糸帽が見当たらないことに気付く。昨夜、脱ぎ捨てた所までは覚えてるんだけど、どこにやっちゃったんだろ?きょろきょろしてたら、
「何か失くし物ですか?」
と、看護師さんも探してくれる。床に四つん這いになってベッドの下まで見てくれたけど、見つからない。おかしいなぁ。ま、その内出て来るでしょ、とバンダナを付ける。

バンダナを結ぶ時、腕を上げても全く痛まない。痛みの無いのに越したことは無いけど、乳房を部分切除して、リンパ節も取ったのに、全然痛まない、とはどうした訳だろう?リンパ液を排出するのに、脇の下に管も入っているけど、その辺りも全くの無痛。管の先には、半透明のゴムみたいな材質の小さな容器が繋がっていて、そこに血の混じったリンパ液が溜っている。他人が見たら、さぞや痛々しい姿だろうけど、本人は何ともない。

7時頃になって、待ちに待った朝食がやって来る。一日以上の絶食で、お腹ペコペコ。お粥にお味噌汁、豆腐、野菜。ワーイ、朝からご馳走だー。で、あっという間に完食。おいしかった〜(^▽^)

次に、容器に溜まったリンパ液を空にして貰う。その時、あった!行方不明だった毛糸帽!なぜだかお尻の下に下敷きになってた。リンパ液は、看護師さんがメスシリンダーに液を移して量を量って、容器の口と栓を丁寧に消毒してから、蓋をする。その容器を、肩からタスキ掛け出来る小さなポシェットに入れてくれた。これで、楽に「お持ち運び」が出来る。

続いて、お手洗いまで歩いて行って、尿の管を抜いて貰う。あー、すっきり!それにしても、「T字帯」を付けている自分の姿は、結構衝撃的。フンドシ〜、ですがな(^ ^;)。残すは手の甲の点滴の針とリンパの管。どこへ行くにも、点滴台を押しながらで、結構うっとうしい。

部屋に戻ってから、蒸しタオルで体を拭いて、部屋着に着替える。体を拭く時腋の下を見たら、分厚いテープが貼ってあって、その5〜6cm下あたりから、リンパ液を抜く管が出ていた。


今日は母と共に、父が初めて見舞いに来てくれる。動き回る私を見て、
「元気そうやね」
昨日の手術直後の姿は、やっぱり見せなくて良かった。母も、
「もう歩いてるの。早いねー」
と、驚いていた。

父が先に帰ってから、母が話し出した。
「お父さん昨日ねぇ、『俺達のがん保険、りまこに使えんやろか』って聞くねんよ。それは使えないでしょ、って言ったんやけど」
私の病気ががんであることに、父は気付いてるんじゃないかな、と母は言う。そうなんかなぁ。そんな素振りは全然見せないけど。父の前では、バンダナや帽子で頭を隠してるとはいえ、その下が丸坊主なのは一目瞭然だし、ま、気付いてもおかしくないとは思うけど......


今日は土曜日だというのに、O先生が傷を見に来る。
「あ、きれいですねー」
初めて私も胸の傷を見る。透明テープの下に、5〜6cm位の黒っぽい線が一本。思ったよりも小さい傷。それよりも驚いたのは、手術した乳房のサイズ。どう見ても、ワンサイズアップしてるー!豊胸手術した後みたい。なんかボコボコした感じだけど。詰め物のメッシュが徐々に吸収されて、腫れはだんだん引いて来て、ボコボコもなくなるそうだけど。
(後記:私の場合、メッシュが吸収された後がそのままペタンコになって、最終的には乳房の 1/4〜1/3 位が平らになった状態で落ち着いています。)

「もう、リハビリとか運動、バンバンしてもいいですか」
「いいですよー。でも、こんなん、とかこんなん、とかは、まだですけどね」
と、一発芸みたいな変なダンスのポーズをするO先生。先生、笑かしてくれる......(^^;)


入院中の心配事の一つが、相棒を一人両親の家に残しておくこと、だったんだけど、あまり心配しなくてもいいみたい。
「今日は、りまこのお母さんに洗濯機の使い方を教えて貰った」
と相棒。言葉がまともに通じなくても、何とかなるものなんだなー。夕食時になると母が、一緒に食べないか、と誘うらしいけど、さすがにそれは遠慮して今まで通り部屋で食べてるらしい。毎日惣菜で済ませてるみたいだけど、まあ、それも私が退院するまでのことだからね。お互い気を使い過ぎると、どちらも気疲れするだろうからと、あまり世話を焼かずに放っておいてくれた方がいい、と母にも言ってある。


夕食前には点滴が取れる。残すは、リンパ液の管だけ。


今日はとにかく、リハビリ体操にいそしむ。
「いっぺんに長時間するより、短時間に小分けにした方が、効果ありますよ」
と、看護師さんは言っていたので、第1と第2段階を夕食までに4〜5回繰り返す。

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2005年12月11日(日)   入院7日目・術後2日目:他の乳がん患者発見

今日は、同じ病気のWさんとお近付きになる。

通院してる時、外来の待合室とか化学療法センター、電車の中でよく見かける若い女性がいた。色白の美人で、いつも服をバシッと決めていて、かなり印象に残っていた。

入院してからも、何度かお手洗いで見かけて、もしかして同じ病気?と思ってはいた。今日お手洗いで見かけた時、私と同じポシェットを下げているのを見て、声を掛けてみる。

やっぱり乳がんで、I 先生の患者さん、しかも金曜日の午後に手術をしたんだって。じゃ、私のすぐ後に手術したんだ。私と同じ時期に乳がんと分かって、初めのしこりの大きさも同じ2.5cm。同じ時期に化学療法を始めて、タキソテール初回投与後白血球激減で、ノイアップ注射したこと、タキソテールが効かず、3回でFECに切り替えた、という経緯、温存手術でホルモン陽性、リンパ節陽性、という所までそっくり同じ!

何だか親近感がわいて、お手洗いで話し込んでしまった。

このWさん、ふわっとした白うさぎの様な雰囲気で、本当に可愛らしい。若いのにホント気の毒、と思ってたら、私と5歳しか違わないって。これからの不安や心配事を、同じ立場の人と話せて、すごく嬉しかった。 それはそうと、イケメン O 先生、やっぱりインターンなのだそう。


その O 先生、今日も回診にやって来る。
「日曜日なのに、お仕事ですか?お休みは無いんですか?」
と、聞くと、
「ありませんよ、そんなもん」
エーーーッ。休みが無いって......研修医ってそんな待遇なの?ま、若いから、ぶっ続けで働いても持ちこたえられるんだろうけど。病院勤めのお医者さんって、ホント激務......


胸の傷が、ちょっと痛み出してきた。痛み止めを飲む程じゃないんだけど。針生検の後の方が余程痛かった。

今日から下半身シャワー解禁。シャンプー台で頭も洗ってサッパリする。空いた時間には、リハビリ体操に加えて、リンパマッサージにも励む。

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2005年12月12日(月)  入院8日目・術後3日目:リンパ液漏れる

朝起きたら、シーツがビタビタする感触があった。

ん......?なんか濡れてる?

掛け布団を剥いで見ると、シーツにオレンジ色っぽい染みが......

わッ、リンパ液容器の栓が取れてるやーん!リンパ液がほとんどこぼれてるー!あー、昨夜寝返り打った時、容器を押しつぶしてしまったかも〜〜

という訳で、シーツを換えて貰ったんだけど、その前に O 先生が傷を見に来る。
「リンパ液が漏れたんです......」
この染みは、粗相をした訳じゃないですよ、という意味で言ったら、
「エッ!!傷から?!」
「いえ、容器から......」
「ああ...... そうですか。それは...... 災難でしたねぇ......」
と、コメントに困ったご様子だった。


午前中、病院の近くのスーパーまで散歩する。外出するのは術後初めて。何だか体がなまってしまっている気がして、手術前にもしていたように、病室の7階から階段で下りて、帰りも頑張って階段をえっちらおっちら登る。入院中ろくに体動かしてないから、脂肪が付きそうで恐ろしい......


シャワーを浴びる時、又ヘマをやらかしてしまった。カランからお湯を出すつもりで栓をひねったら、上のシャワーからお湯が...... しかも、思いっ切り強くひねったものだから、胸のガーゼが見事ズブヌレ〜〜

という訳で、看護師さんにガーゼを替えて貰う。度々手間を掛けてしまって、スミマセン(− −;)。


午後は、40分程爆睡......

そんなこんなで、マンガをどっさり持って来たのに、一冊も読んでいない。体操にマッサージ、何やかやとしていたら、時間が過ぎて行く。


病原巣を摘出したせいか、手術前と比べると、気分はかなり上向きになってきている。体のどこかに、まだがん細胞が潜んでいる可能性もある、というのは分かってるんだけど、手術が無事済んで、元凶そのものが体からいなくなった、ということで、もう治ってしまったような気がしてくる。

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2005年12月13日(火)  入院9日目・術後4日目:健側のリンパ節

今日も、Wちゃんと1時間程話し込む。

食事療法の話とか、リハビリ体操の話、
「朝起きたら、枕に5mm位の抜け毛が100本位付いてて、それをパンパン払うのが毎朝の日課なのよねー」
とかいった話で盛り上がる。


ずっと毎日通いづめてくれた母は、今日はお休み。相棒は、相変わらず午後にやって来る。電車代もバカにならないんだから、毎日来なくてもいいよー、と2人には言うんだけどねぇ......


今日は、胸のガーゼが外れる。残った透明のシールは防水なので、今日から上半身シャワーも解禁。手術した側は、相変わらず豊胸手術の後みたい。看護師さんが傷を見て、
「きれいな傷ですねー。I 先生のは、いつもきれいなんですよ」
そうなんだー。I 先生が執刀でラッキーだったかな。

その後、何気なく反対側の腋の下を探ってたら、何か米粒みたいなしこりが触れて、血の気が引いた。O 先生に、回診の時診て貰ったら、
「多分大丈夫だとは思いますけどねぇ」
I 先生にも診て貰って、
「これは違うと思いますよ」
と聞いて、やっと安心する。

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2005年12月14日(水)  入院10日目・術後5日目:Wちゃん退院

Wちゃんが今日退院して行った。リンパ液の管が、昨日抜けたのだそうだ。私はリンパ液の排出量がまだ多いので、後2日程と言われる。

それと、ちょっと気になっていること。手術した側の二の腕の裏辺りが、痺れているみたいで、感覚がまるで無い。O 先生は、時間が経つ毎にだんだん感覚は戻ってくる、って言ってたけど。あまり気にならない場所ではあるんだけど。


2005年12月15日(木)  入院11日目・術後6日目:ドレーンが抜ける

やっとリンパの管が抜けた。

抜く時、
「ちょっと痛いよ」
と、I 先生に脅かされた割には、それ程でもなかった。かなり長い白い管が出て来て、これがずっと入ってたのか、とちょっとびっくり。

明日退院決定。ヤッター!それはそうと、なんか下腹辺りがポッコリ出てきてるんですけど......


2005年12月16日(金)  入院12日目・術後7日目:退院

午前中看護師さんから、退院してからの皮膚の保護について説明を受ける。

要約すれば上記の通り。

患側の腕や腋を、タオルでゴシゴシしてもいいか、と聞いたら、
「普通に洗って下さい。いつも清潔にしていることも大切なので」
腋窩の毛を毛抜きで抜いても大丈夫か、重いリュックを背負っても大丈夫か、については主治医の先生に聞いて下さい、ということだった。

その後、O 先生が退院療養計画書、というのを持って来る。

リンパ液を抜く為22日に診察の予約が入っていること、季節柄、手術した側の手のひび割れやあかぎれに注意する、脇の下が腫れたり、熱をもったりしたら、救急外来にお越し下さい、というような注意事項のおさらいをする。


それから久し振りにズボンをはいた。

ん?腰周りがちょっとキツい......?久し振りだから、キツく感じるのかな......


昼食が済んだ頃、母と相棒が迎えに来る。私をひと目見て、母が一言、

「なんかズボン、ピチピチしてるよ」


......!!!(゜□゜|||)


......や、やっぱり......?!


1日3食昼寝付き、しかも毎食一粒残さず平らげて、運動といえば近くの店まで歩くだけ。こんな生活を2週間近くも続けたら、そりゃ、こうなるかーー....


本日の請求額: 240,520 円也。(T ▽ T)
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「未納金確認及び支払い誓約書」に署名して、後日振込み払いすることにする。今月分の医療費は、高額療養費払い戻しを申請ないと。7月の医療費も、化学療法2回とノイアップ4回で払い戻し対象になるのに、まだ申請していない。早目に一緒に申請しないとね。

病室では暖房がガンガン効いてたから、家に戻ったらサムイ〜〜。腕の付け根辺りが痛んでくる。よーし、リハビリやるぞー。

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2005年12月17(土)〜21日(水)   リハビリとマッサージの日々、試しにピアノも

退院してからは、とにかくリハビリ体操とマッサージに励む。

右腕を伸ばすと、脇の下が筋立っているような感覚で、特に、腕を頭の上で伸ばすポーズをする時は、
「イタタタタ......」
と、思わず声を出してしまう。

恐る恐る、ピアノも弾いてみる。

特に右手が弾き難い、ということも無く、ほとんど支障は無いみたい。久し振りだったので、やめられなくなって長々と弾いてしまった。

右手を酷使する曲を弾くと、ちょっとやっぱり右腕がダルくなりやすいかな、といった感じだけど、手術前と大して変わらない。よかったぁー(^▽^)。


2005年12月22日(木)   リンパ液を抜く

退院後最初の診察日。

朝から雪が積もって、出かける頃には外が真っ白。相棒が駅まで一緒に歩いてくれる。白い雪を踏み踏み、「ホワイト・クリスマス」を口ずさむ。

Wちゃんも今日診察だと言っていたので、待合室で会えると思ってたけど、見かけなかった。同じ時間に予約が入っていたので、
「私達、絶対セットにされてるね」
と、メールで話していた。

「さあ、脇の下がぷっくりしてきてるでしょう」
と、開口一番に I 先生。ほんと、一見卓球の球が中に入ってるみたいに、ポッコリ腫れてきている。注射器で抜いてもらったら、かなりの量のリンパ液が溜まっていた。

ドレーンを抜く時も痛くなかったけど、今日もほとんど何も感じなかった。脇の下辺りの感覚も、大分鈍ってるのかも。

年が明ける前にもう一度リンパ液を抜いた方がいい、ということで、次回診察は28日。病理結果は、今年中に出るかどうか分からないって。

今日は、採血もして帰る。


本日の支払い: 850 円也。
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帰りに、楽譜2冊購入。

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2005年12月25(日)   クリスマスのお祝い

ケーキを2種類作って、両親、相棒を交えてクリスマスを祝う。

御馳走を前に皆で記念撮影。そういえば、写真撮るのも久し振り。ハゲ頭も記念に撮っとこうかな。術後の化学療法が終わって、髪が元通りに生えてくれば、こんな頭になることは、もう二度と無いだろうし。(願わくば!)




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