乳がん治療手記2

第二のしこり

2004年1月〜10月   第二のしこり発見、ネットで情報集め、病院に行くべきか否か?

しこりに再び気付いたのは、2004年の新年辺りだったと思う。2003年の暮れだったかもしれない。

この時はニュージーランドにいて、年末だか新年だかの花火大会を街の河まで観に行った頃だった。気が付いた時は、前回よりも少し大きく大豆程のサイズがあった。場所は前と全く同じ。最初は、あれ?また出てきてる。無くなってたんじゃなかったんだ?でも良性だから大丈夫よねぇ、と特に心配することも無く、何もしなかった。

ところが3ヶ月4ヶ月と経ってくると、何だか大きくなってきてる様な気がしてきた。帰国して夏を迎える頃には、これは明らかに育ってるよなぁ、と自覚していた。もしかして、前のとは別の物なのかも、という考えも浮かんでくるけど、いやいや、全く同じ場所なんだから、前の残がいが大きくなったんでしょ、とその度に考え直す。

病院行って診て貰おうかとも思い、ネットで乳腺の専門医が近所の病院にいることを確かめた。でもその前に調べてみよう、と「乳房のしこり」で検索を掛け、出てきたサイトを片っ端から見ていった。

多くのサイトでは、「良性のしこりはコロコロと良く動く」と書いてあった。私のは、押すと逃げるようにして動く。「悪性の物は、境界がはっきりしていないことが多い」私のは境界がはっきりしている。あるサイトには「悪性のしこりが痛むことはあまりない」と書いてあり、別のサイトには「悪性でも痛むことはある」とある。実はこの頃から、痛みも出てきていた。 多分大丈夫でしょ。いつも健康には気を付けてるし、近親者にもがんになった者はいないし。

更にネットで調べていく内に、このしこりは「繊維腺腫」と言う乳腺疾患の症状によく似ていることが分かった。「だんだん大きくなってくることがある」ともある。繊維腺腫ではないか、と思ったのには、2年前の検査の時に貰った用紙の「乳腺繊維」という意味合いの言葉を思い出したせいもあった。 "breast tissue" という言葉を、「乳房の組織、織物?」から「乳腺繊維」と、勝手に解釈していたんだけど、改めて見てみると、これは単に「乳房の組織」という意味だったんじゃないかなあ?

ネットの情報では「繊維腺腫は痛みの無いしこり」とあるし。痛みのあるしこりは「乳腺症」の症状のようだ。「生理前に痛む」とある。私のは、生理周期に関係なく時々ズキズキした痛みがある。更に「左右両方やしこりが複数の場合が多い」これは、当てはまらないな。「しこりはゴムのように柔らかい」これも当てはまらない。私のはかなり硬いように思う。じゃ、「嚢胞」はどう?注射器で吸い出した物は液体だった。その後しこりは消えてしまった、と思ったんだけど。......

なんてヤキモキしてないで、さっさと病院に行けばいいのよ。どのサイトにも書いてあるじゃないの。「乳房に異変があったら病院で診て貰いましょう。自己診断は禁物」それは分かってはいるんだけどね。

色々検索している内に、乳房のしこりに関する掲示板を幾つか見つけた。同じようにしこりがあって心配、と言う書き込みも多い。これへの返答はもちろん

「病院へ行きなさい」

の一言。おっしゃる通り。

掲示板の中には、不幸にして乳がんと診断された人達の投稿もあった。乳がんは取ったらおしまいではなく、その後抗がん剤治療、放射線、ホルモン療法等の治療が続くらしい。リンパ節を取った場合、リンパ浮腫になる心配もある。また、術後5年10年と再発の恐怖が付きまとう。そんな状況で必死に闘っている人達がいる。万が一、もしもよ、もしも私がその状況になったとしたら、耐えられる?ダメだろうなぁ.........とてもじゃないけど。それにリンパ節を取った後は、キーボード等の手作業を続けてすると腕が浮腫みやすくなるらしい。そんなことになったら、大好きなピアノもまともに弾けなくなるんじゃないかなぁ?

結局病院には行かなかった。その秋には再びニュージーランドで半年滞在する予定があり、病院へ行くのは帰国してからにしよう、と決めた。

       

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2005年3月22日(火)  疼痛、医療センター予約 (ニュージーランド)

ニュージーランドに来てから、しこりの痛みがだんだん酷くなっている様だった。思い出したように時々ズキズキと痛む。それに、しこりのある側の肩こりも酷くなっていた。脇の下にくすぐったいような違和感を覚えたこともあるけど、それは一度きり。肩こりについては、胸にこんな異物があるんだから別に不思議でもないな、と納得していた。

1月頃に一度、それまでにないしこりの痛みに襲われた。一日したら収まったのでホッとしていたのが、3月中旬、再び同じ様な痛みが出てきた。痛みで夜目が覚める程の疼痛だ。その後2〜3日で痛みが和らいだかと思うと、また疼痛が襲う。

この私の様子を相棒に気付かれてしまった。どうしたのかと聞く相棒に、しこりが大きくなってきて痛み出していることを告げた。その頃には大豆どころか、クルミ程の大きさになっていて赤く腫れていた。

帰国まで後1ヵ月半だったので、私はそれまで我慢するつもりでいたのだけど、
「医者に診て貰わないと」
と相棒は言った。
「日本に帰ったら診て貰おうと思ってたんだけど」
良性でもこれは取って貰った方がいいのかも、と思い始めていた。
「そんなに待つべきじゃないかも」
って、最悪の場合を考えているのかな。相棒には前のしこりが消えたことは言っていない。一度良性診断を受けていることは覚えているはずだけど。
「でも医療費かなり掛かると思うよー」

それが一番引っかかるんだな。海外旅行保険には加入しているけれど、出発前から症状がある場合保険は出ないだろう。
「そんなことはどうでもいい」
どうでもいいってことないでしょ。いくら掛かるのか知らないけど、払うのは私なんよ。しかし相棒の勢いに負けて、診て貰うことにした。と同時にこの悩みを相棒と共有することが出来て、少しホッとする。

次の日の朝、相棒があちこち電話してくれた。まずは地元唯一の病院。
「その様な場合の検査は、放射線診療所で行ってます」
と言うことで、番号を聞いてそちらへ掛け直す。
「検査を受けるには、GPの紹介状が要ります」
そう言われるだろうと何となく予測はしていた。

GP(Genaral Practitioner)は、まあ言うなれば、地域のかかりつけ医のようなもので、緊急でない限りまずはGPに診て貰って、必要であれば大きな病院や、専門医に紹介して貰う、と言うシステムになっている。イギリスで最初に診て貰ったのがGPだ。GPの診察を受けるのにも予約が要るし、それから紹介状を書いて貰って....となると、時間が掛かってしまう。イギリスでは検査の予約は、GP診察から1ヵ月半も経ってからだった。そんなに時間が掛かったら、もう帰国の日になってしまう。

そんなことを考えている間に、相棒はまず家から一番近い医療センターに電話をして、
「新しい患者は受け付けてません」
と言われ、街の反対側にある医療センターに電話していた。
「日本人なんですけど。良かった、はい、明日11時に」
と受話器に向かって言っている。って、予約取れたの?しかも明日?はやッ。まあイギリスで住んでいた中都市に比べれば、ここは小さな田舎街だもんねぇ。人口が少ない分そんなに込んでいないということかな。まあとりあえず予約が取れて良かった。
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2005年3月23日(水)  医療センター受診 (ニュージーランド)

翌日相棒の車で医療センターへ向かう。

「医療センター」という名は付いてるけど、地域の診療所らしいこじんまりした建物だ。まずは登録用の用紙に、基本情報を書き込んで受付に提出。あまり待たされることもなく名前を呼ばれた。

「ドクター・Dです。今日はどうされました?」
とおなじみの台詞。私よりも少し年長の女医さんだ。
「乳房にしこりがあって、最近痛み出しました。だんだん大きくなってる気もします....」
「しこりにはいつ気付きました?」
「まず3年前に気付いて....」
と話し始めると、
「タイプしながらでも構わない?」
とコンピュータに向かって、私の話す内容をタイプし始める。3年前細胞診で良性診断が出たこと、その後消失するも、再びしこりに気付いたこと、最近鋭い痛みがあったことを話した。

「じゃあ診てみます」
と、触診を始める。
「かなり大きいですね。痩せてるから見ただけでも分かるわねー」
「痩せてる」と言うのは、胸が小さい、というのを遠回しに言ってるんだろうけど、とにかく鏡で見ると、触らなくてもそこにしこりがあるのが分かる程に、大きくなってるのだ。
「3cm位ありますね。検査した方がいいですね。超音波と場合によっては組織を取ることになります」
「あの、いくら位掛かるか分かります?ここの住民ではないので....」
イギリスでは無料で検査出来たけれど、今回は全額自前になる。あんまり高いとねぇ.....
「出身はどこですか」
日本ですと私が答えると、電話を取り、
「ここに日本人の患者さんがいるんだけど.....」
とリストの様な物を見ながらしばらく話していた。
「ニュージーランドの住民でない場合、この位掛かります。ちょっと高いけど....」

差し出されたリストを見ると、マンモグラフィー$130、超音波$55、組織検査$200とある。(注:この数字はうろ覚えです。大体この位だったと思う.....)今のレートが$1=80円弱なので、全部受けるとなると大体3万円。はー、やっぱり高いなぁと思ったけれど、日本で検査を受けたらいくらなのか知らないので、これが本当に高額なのか分からない。しこりがあるのは分かってるんだから、マンモグラフィーは要らないでしょ、と素人考えを巡らせる。

「1ヵ月半で帰国するんですけど、それまで待つというのはどうでしょうか」
「問題のないしこりならいいんだけど、もし何か悪い物だったら、少しでも早く診断した方がいいですね」
「先生の見立てでは、どちらか分からないんですよねぇ」
と、一応聞いてみる。
「分かれば本当にいいんだけど....ただしこりが硬いのがちょっと気になりますね。柔らかければ少し安心なんだけど」
そうですよねぇ。
「紹介状を出すので、決心したら放射線診療所の予約を取って下さい」
分かりました、そうします。

その後先生が、
「日本には一度行ってみたいと思ってるのよー、父が仕事でよく行ってたから」
と話し出したので、
「行くなら春か秋がいいですよー。桜がきれいで........」
と日本のことを少し話して終わりとなった。

待合室に戻ると、
「で、どうやった?」
と早速相棒が聞いてくる。
「分からないって。詳しく調べた方がいいって」
まあ、予想通りだけど。問題はこのまま検査も受けてしまうかどうかだ。3万は痛い。でも受けずに終わってしまうと、何の為に受診したのか分からなくなる。そもそも紹介状を出して貰って検査を受ける為に、今日の予約を入れたんじゃなかった?で結局、受けることにした。受付で今日の診察料$40の支払いを済ませると、放射線診療所への紹介を書いた紙切れを渡され、予約する様言われる。すぐ隣の通りにあると聞いて、その足で放射線診療所へ向かい、一週間後の予約を取った。

それにしても、診察料$40は思ったより悪くないんじゃない?一体いくら取られるのやら、とビビっていたのだけど、日本円で3,200円弱。久しく行ってないからはっきりとは知らないけど、日本の病院で診て貰って3割負担でも、初診料この位するんじゃなかったっけ。

       

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2005年3月30日(水)  マンモグラフィー、超音波検査 (ニュージーランド)

今日の予約は12時ちょうど。相棒と放射線診療所に入って行くと、待合室には他に三人の女性が同じく相棒だか旦那だかを伴って座っていた。

受付で名前を言うと、
「今日はマンモグラフィーと超音波ですね」
と受付の女性が言うので、すかさず、
「すでにしこりがあるので、マンモグラフィーは必要ないかと......」
と言うと、
「あなた、おいくつ?」
と聞いてくる。
「39歳です(-_-;)」
「じゃ、受けておいた方がいいわねぇ」
「でもあの、私ここの住民じゃないんで、費用を払わないといけないんです......」
必要ない検査を高いお金を出して受けたくないので、ちょっと必死になって言い掛けると、
「いいから、いいから」
と、取り付く島もないって様子で軽くあしらわれる。いいから、いいからって、どういうことよ?お金払わないといけないのは私なんですけど。マンモグラフィーは必須検査になっているのだろうか。例えそうだとしてもお国柄、強く主張すればじゃあ無しでいいわ、となるかもと思ったけれど悲しいかな、こういう肝心な場面でうまく言葉が出て来ないのよねぇ。結局、じゃこの際受けてもいっか、と諦めてしまった。はぁ、我ながら優柔不断なこの性格......

名前を呼ばれ検査室に入ると、そこはマンモグラフィーの部屋らしく、若い女性技師がいた。
「上脱いで下さいね。マンモグラフィーは初めて?」
「ええ、初めてです」
「しこりはあります?じゃ、マーカー貼りますね」
と、しこりのある辺りにビーズ程の小さな金属の様な物を、透明テープで貼り付けた。
「このプレートで乳房を挟んで撮影します」
と、そこにある機械を指し示す。これがかの有名なマンモグラフィーか。挟むプレートは透明の板だ。これで乳房を挟んだら、さぞかし滑稽な形になるんだろうな〜。

「正確な映像を撮る為に、出来るだけ乳房が薄くなるまで挟む必要があるので、かなりの圧力が掛かります。出来るだけ我慢して、これ以上ダメだと思ったら言って下さいね」
ひえ〜、聞くからに痛そー。
「まず右側から撮るので、ここに立ってここに腕を掛けて下さい」
言う通りにすると、まずは台の高さを調整する。胸の位置も何度か調整してから、
「プレートが下りて来ます」
と、ペダルを踏むと、透明の板が降りて来てちょっと胸を挟んだ位置で止まった。
「横の方からもたくし入れますねー」
と、ブラジャー着ける時の「脇から寄せて入れる」のと似た要領で、板の間にうまく収める。私の胸は乳房とは名ばかりの、ほとんどまっ平らに近い物なんで、胸と言うよりは、カワを引っ張って入れるてみたいだった(-_-;)。
「もう少しプレート下ろしますよ」
と、板がさらに下りて来る。いたたたた.......しこりが痛いー!見ると胸が半月型につぶれている。ほらぁ、やっぱり滑稽な形になってるー。と、板が少しだけ上がり、また胸の位置を調整する。
「何とか持ちこたえてる?」
「ハイ〜〜(><)」
「じゃ、もうちょっとプレート下げます」
と、さらに板が下がる。いたたた、一体どれだけ薄くすればいいのー!
「撮ります」
早くしてくれ〜〜!と思ってる間に、板が上がった。
「次は左ね」
同じ要領で左側も撮影する。右側程痛くはなかった。やっと終わった〜、と思っていると、
「後二枚あるんですよー」
と、プレートをくるっと回転させる。何ですとぉ〜?!どうやら垂直方向も撮るらしい。今度は縦の方向に同様に胸を挟み、全ての撮影を何とか終えた。

次は超音波の検査。
「ドクター・Hです」
また女医さんだ。
「しこりがあるんですね。じゃ見てみましょう」
マンモグラフィーの結果を教えてくれると思っていたけれど、それは専門外らしい。台に横になり、検査が始まる。

「これは固体ですねぇ」
私も首を捻じ曲げてモニターを見ると、黒いモヤモヤした影が映っている。
「大きさは1.5cm位。この位。意外と小さいわね」
と、親指と人差し指で小さな輪っかを作る。先週言われた3cmとはかなりの違いだけど、実はこの一週間で何だかしこりが小さくなった様な気はしていた。腫れて表面がデコボコしてきていたのが、その腫れが引いて平たい感じになっていた。痛みも治まっている。このサイズの変化は、ズキズキ痛み出した頃からあったようにも思う。何だか大きくなったな、と思っていると又少し小さくなった気がする、ということが何度かあった。

「前にあったしこりは、細胞診で良性って言われたんですけど。繊維か何かだって.......」
固体だと前のしこりと同じ物である可能性は少ない、と分かってはいたけど、また例の "breast tissue" を思い出して言った。
「注射器で採って調べる検査ですね?それは液体ではなかった?」
私がうなづくと、
「その後、しこりが消えてしまった?」
しこりが消えたことは、ドクター・Dからも報告されていたんだろう。
「今のこのしこりの中身は、液体ではなく固体なの」
.......じゃあ前のとは別物、ってことね。
「組織が集まって良性のしこりになることがよくあって、それかもしれませんが。Fibroadenoma と呼ぶんだけど」
「繊維腺腫」のことかな。やっぱりね........
「Core Biopsy で何なのか調べた方がいいわね」
そうですか..... "Core Biopsy"って、細胞診のことよね。
「別にこれが何か悪い物だ、と言う意味じゃなく、その可能性を排除する為にもね」
とドクター・Hは付け加える。
「検査は今日は出来ないので、後日、多分来週になると思います。専門医が皮膚をちょっと切って、しこりの一部を少し採ります。局所麻酔するので何も感じません」

............何ですとぉ?麻酔?!

注射器で吸い出すやつじゃないの?麻酔までしてする検査って、思ったより大ごとちゃう?!
「1ヶ月程でここを発って帰国するんですけど、それまでに結果出ます?」
すっかり怖気付いてそう聞くと、
「1週間位で出ますよ。ドクター・Dと相談して決めて下さい」
うーん、どうしたもんかな。

「それで?」
と聞いてきた相棒には、
「繊維のかたまりだと思うって。でも詳しい検査を勧められた」
と簡単に報告。ドクターは「だと思う」ではなく「かもしれない」と言ったんだけど、まあ意味合いはそんなに違わないでしょ。悪性は疑わないけど念の為、って雰囲気だったし。

その日の支払いは、マンモグラフィー$117.16 + 超音波$51.56 + 税金$21.09 - RSB Rebate(これが何なのかは不明) $11.80= でしめて、

$178也〜(チーン)。14,000円程(T_T)。

これは痛いなぁ。相棒が、払うと言ってくれたけど、やっぱりそう言う訳にはいかないよねぇ、とカードでさっさと支払いを済ませる。マンモグラフィーの結果はGPに聞いて下さい、と言うことだった。

で、次の検査だけれど、もう日本帰ってからでいいやん、と言う気持ちに傾いていた。麻酔と聞いて恐れをなした、というのもあるけど、正直そういう検査だったら、日本の方で受けたい。別にニュージーランドの医者が信用出来ない、という意味ではないのよ。でもねぇ、何でもアバウトなこの国ときちっとしている日本とで、どちらで検査受けたいかと言えば、それはもちろん日本なのよ。それに、ここで受けたとしても結果が出るのは2週間後。出国予定の4月28日は、そのわずか2週間後だ。途中マレーシアで2週間過ごして帰国は5月13日の予定。もしも、万が一、悪い結果が出て即帰国となったとしても、飛行機がすぐ取れるとは限らないし、せいぜい3週間程早くなる程度だろう。更には、せっかくここで検査を受けても、日本に帰って「そんな外国の検査結果なんぞ当てにならん!」と言われればそれまで。もう一度検査、なんてことになる可能性だって大だ。

どっちみち日本でも受けるかもしれない検査を、更に$200も出して受ける気にはなれない。相棒にそう言うと、
「りまこがそうしたいんだったら。自分の国で検査した方が安心なのは分かる」
と言ってくれた。ここで白黒つけずに終わったら、今までの手間と費用がそれこそ無駄になるんじないか、とも思うけど、

$200余計に払うよか、いいでしょ?(^_^;)。

結局はそゆことです、ハイ。それに、繊維腺腫「かもしれない」と分かっただけでも、今日受けた検査は無駄じゃなかった........と思う...........ま、そういうことにしときましょ。

       

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2005年4月6日(水)  GPからの電話 ( ニュージーランド)

この日の午後掃除機をかけている時、電話が鳴った。
「ドクター・Dです」
「あ、こんにちは」
「調子はどう?」
検査の件をドクター・Dと相談するよう言われていたけれど、もう日本で受ける事に決めていたので医療センターの予約は取っていなかった。
「組織検査は日本で受けることにしました」
「ドクター・Hから電話があって、検査は必ず受けるようにと言って来たの。だから日本へ帰ったら待たずにすぐに検査して貰ってね」
「分かりました、そうします。お電話どうもありがとうございました」

じきじきに電話してくれるとは思わなかった。もうこれ以上一銭も出さんぞーという決心もあって予約しなかったけど、電話くらい入れて日本で検査することを知らせるべきだったな。反省............. 

しばらくしてから、あ、マンモグラフィーの結果聞くの忘れたぁ!と思い出したが後の祭り。もう7時になっていた。医療センターはもうもぬけのからだろうな。さっきせっかく電話してくれた時に、何で思い出さないかなぁ。はぁ、私ってホント、抜けてるよなぁ.......
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2005年4月18日(月)  検査結果 (ニュージーランド)

その後帰国準備でバタバタしていたが、あと10日程で出発という頃になって、マンモグラフィーの結果のことが気になってきた。日本で診て貰う時、何か書類で検査結果があった方がいいんじゃないか。超音波はいいけど、マンモグラフィーを何度も受けるのはごめんこうむりたい。被爆量も心配だし。

ということで、検査を受けた放射線診療所に電話してみた。
「結果は全てGPに送りますので、GPに聞いて下さい」
と、にべもなかった。GPに電話しても捕まらないだろうなーと思いつつ、医療センターに掛ける。やはりドクターは診察中だった。折り返し電話するよう伝えてくれると言うので、番号を残しておく。

数時間してからドクター・Dから掛かって来た。
「マンモグラフィーの結果についてなんですけど」
と切り出すと、
「この前電話で話したことなんだけど、覚えてる?組織検査は必ず受けて下さい、と言ったことだけど」
「......はい、日本へ帰ったら受けます」
「日本へはいつ発つの?」
「今月末です。マレーシアで2週間過ごして帰国なので、医者に診て貰うのは5月の半ばになります」
「あなたのしこりは液体ではなく固体で、その点が少し心配なので、出来るだけ早く検査してもらってね」
「あの、マンモグラフィーの結果なんですけど、このしこり以外に何か異常はありました?左側には?」
「他には何もありませんでした。結果を書いた書類をコピーして渡しましょうか、日本の先生に読んで貰えるように?」
それはありがたい。
「あ、いくらか掛かります?」
こればっかり聞いてるけど(^_^;)。
「何も掛からないわよ。コピーを受付に預けておくので、取りに来てね」
良かったー。
「じゃ、休暇を楽しんでね」
「ありがとうございます。日本に帰ったらすぐに診てもらいます」

早速次の日、そのコピーを取りに行った。家に帰ってから、辞書を片手に目を通す。電話でのドクター・Dの口調に、何となく気になる響きがあるなあと感じていたので、目を皿のようにして何度も読み返した。

右胸外側上部に丸い境界のはっきりした病変が見られる。超音波では、固体で大きさは幅17mm奥行き14mmと見うけられる。位置は乳首から10時方向2cmの所。この病変内に血流はなし。他の病変は見られない。超音波の映像からは、Fibroadenoma が疑われる。ただし、組織学的に何であるかをはっきりさせる為、超音波のもと、Core Biopsy を行うことを勧める。これについては患者に通達済みだが、日本に帰る予定の為、組織検査をニュージーランドで受けるかどうかは未定。
私の辞書に載っていない専門用語で、しこりの形状についても何か書いてあったけれど、大体こういう内容だ。Fibroadenoma が間違いなく「繊維腺腫」であることは、ネットで調べて確認した。とりあえず、あまり心配しなくていいかな。

帰国前にもう一つすることがあった。日本の病院に予約入れとかないと。帰ってからだと、又時間が掛かるかもしれない。乳腺専門医のいる近所の病院の電話番号は、手帳に書いて持って来ていた。いつも使っている格安国際電話サービスを使って電話する。
「予約は要りません。月曜か木曜に直接おいで下さい」
ということだった。

       

オークランドへ向かう小型飛行機の窓から、半年過ごした田舎町の美しい海岸線に向かって、またねーと手を振りながらふと思った。今度来れるのはいつだろう。今年の11月、戻って来れるかな、という不安がほんの少し沸いてくる。......大丈夫大丈夫、心配し過ぎだって!

超音波検査の後、しこりはもとのクルミの大きさに戻っていた。しかし、その後激しい痛みはない。5月始め頃、マレーシア滞在中、又少し小さくなった。形もやはりボタンの様な平らになっていた。この大きくなったり小さくなったりするのは、何でやろ?

マレーシア滞在最終日、相棒とはクアラルンプールの空港で別れた。相棒はイギリスへ、私は日本へ、と別々の飛行機だ。2ヵ月位したら相棒が日本へ来る予定だったが、セキュリティの向こうへ消えて行く相棒の後姿を見送りながら、又ちょっと不安になる。今度会う時も、何事もなく今まで通りよね。

空港に一人残されて、少し心細くなっていたのは確か。


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