乳がん治療手記3

病気発覚

2005年5月23日(月)   外科受診、マンモグラフィー

5月13日金曜日に帰国して、次の月曜に近所の病院へ向かった。駅前からバスが出てるけれど、運動がてら20分程歩いて行った。

丘の上の方にあるこの病院は建物が古く、レトロな雰囲気がする。どうでもいい話だけど、私、この病院で生まれたのよねー。受付で、乳腺科を初診で受診したい、と言うと、
「担当の先生が学会で、今週はお休みなんですよー」
と言われる。何だー、せっかく張り切って来たのに。早く全て済ませてしまいたかったのに、早速出鼻をくじかれてしまったなー。まあ、仕方ないけど。


次の月曜日、再び急な坂道を歩いて病院へ。先週は両親共出掛けていて、病院へ行く事も言わなかったのだけど、その日は母が家にいた。いつもどこへ行くのか聞かれるので、その前に、
「ちょっと病院行ってくるわ。何かここにしこりがあってニュージーランドで、大丈夫やと思うけど一度調べて貰った方がいいって言われたから」
と言って出て来た。

先週と同じ様に受付に行くと、
「あちらで、初診申込書を書いて持って来て下さい」
と言われる。小さい頃小児科で診て貰ったり、眼科や歯科には行ったことがあるけど、こういう総合病院で診て貰うのは初めて。診察カードと番号券を渡され外科へ行くよう言われる。乳腺は外科の担当なんだそうだ。番号券を見ると、なんと40番代だった。

外科診察室の前で待っている人達の大半は女性だった。母の年代かそれよりちょっと若い年代が多いけれど、私と同じ位の年代の女性もちらほらといる。問診表に記入し、今までの経緯を簡単に手書きした紙、ニュージーランドで貰った報告のコピー、それからイギリスで貰った細胞診の結果と "breast tissue" 云々とある紙のコピーも一緒に提出する。

1時間程して看護師さんに名前を呼ばれ行ってみると、
「X線科でマンモグラフィーを撮って来て下さい」
と言う。
「撮って貰ったばかりで、結果もそこに付けてあるんですけど」
と、その看護師さんが手にしている書類を指差した。
「そうですか.......じゃちょっと座ってもうしばらくお待ち下さい」

待っている間、周りの話が色々聞こえてきた。皆が乳腺関連で来ている、というわけでもなさそうだけど、良性腫瘍の経過観察の人、しこりを見つけてやって来た人、とやはりそちら関係の話で賑わう。私よりも若い女性は、腋の下が腫れて痛むそうだ。乳がんが見つかって去年手術をしたという人は、定期検診に来たそうだ。
「やっぱり何ヶ月か毎に検査しないとだめなんですか?」
と聞くと、
「再発が怖いからねー」
やはり乳がんになってしまうと、大変そう。その女性の話では、このN先生は名の知れた乳腺専門医で、遠方からやって来る患者さんもいるそうだ。そういう先生なら、安心だな。

それにしても多いなー。一診、二診とある診察室の前の椅子は完全に埋まってしまっている。聞くと、どうやら同じ区にある系列病院の乳腺科医師が最近退職して、その患者さん達が皆この病院に流れて来てるそうだ。先週1週間休みだったのと重なって、今日はいつにも増して多いのだそうだ。

途中、診察室から先生が出て来て、
「どうもすみません」
と、待っている人々に言いながら、廊下にあるドアへと消えて行った。先生も朝から、ノンストップで次から次へとやって来る患者さんを診るのは、さぞかし大変だろうなぁ。それに、待ち時間が長くなるのは、一人一人手を抜かず丁寧に診てくれているからだろう。

文庫本を読んだり、廊下に設置された血圧計で血圧を測ったり、売店で買ったポッキーを食べて飢えをしのいだりしながら、更に待つことナント約5時間!もう5時近くになってからやっと名前を呼ばれる。
「やっぱりマンモグラフィー受けてきて貰えますか。映像が無いと診断のしようがないので......」
「2ヶ月前に撮ったばかりなんですけど、被爆量大丈夫ですか?」
「ほんのわずかな量なので、大丈夫です」

映像が必要、というのは理解出来たし、何よりも長い待ち時間でくたびれていた。もうそれ以上深く考えずに、言われるままX線科へ。機械も手順も、前回受けたのと同じだった。若くて可愛い技師さん、という所まで同じ。ただ、前回よりも更に強い圧力で胸を押し潰された。そんなに強く押し潰したら、しこりがはじける〜!と思った程。
「ちゃんと撮らないと、正確な診断出来ないので......」
それは分かっちゃいるけど、しこりが今回はクルミサイズの大きい状態だったので、もう痛いのなんの......(T_T)。

それから更に待つこと1時間余り。やっと診察室から名前を呼ばれた。もうすぐ6時半だった。11時頃からなんと7時間以上も待っていたことになる。
「長い間お待たせして、すみませんでした」
と、N先生はまず謝罪してくれる。いいえ、先生も本当にお疲れ様です。

「しこりがあるんですね。いつからですか」
2ヶ月前にした話を繰り返す。先生はカルテにメモしながら、所々質問を挟む。
「......それはどこの病院ですか」
「イギリスの病院でした」
あ、書いてなかったっけ。
「で、結果がこれ......と。......ニュージーランドで検査して結果が、あ、こっちか......フムフム」
と、書類を読んでいった。
「......それで Core Biopsy を受けろ、と言われたんですね。これも読ませて貰ったけど」
と、私の手書きのメモを指す。
「最初の検査の後、しこりが消えてしまって、またあるのに気付いたんです」
と、付け加えると、
「消えてしまうってことはないと思うけど」
と言う。はぁ、そうなんですか。

「じゃ、診てみましょうか」
触診しながら、
「......これは繊維質......じゃ、横になって貰えますか」
とまた触診。
「大きさは2.5cm......」
と、定規を当てて言う。
「あの、大きくなったり小さくなったりするんですけど......今は大きい状態なんですけど」
「小さくなったりすることは無いと思うけどなー。もうちょっと詳しく診る為に、エコー検査しましょう。もしかしたら細胞を取るかもしれません。血流があるっていうのが少し気になるので」
「えッ、血流は無いって......」
「えーと、ああホントだ」
と、前の検査結果報告をもう一度読んで言う。
「じゃあ、何で Core Biopsy を勧めたのかな。ま、念の為エコーの予約して下さい」

予約センターでエコーの予約をして、やっと長い一日が終わった。先生の口調からは、心配いらないかなという印象を受けた。「血流が無いのならあまり心配ない」って感じ?「繊維質」って言ってたので、やっぱり繊維腺腫を疑ってるのかな。エコーの検査も本当に念の為、って雰囲気だった。今日N先生の診察室から出て来た人達の恐らく半分以上は、予約センターで何かの検査の予約をしていたように思うし、きっと用心深い先生なんだろう。

本日の支払い: 3,285 円也。
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家に帰って、どうだったか聞いてきた母には、
「多分大丈夫だろうけど、念の為エコーするって」
と言っておいた。

        
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2005年5月25日(水)  超音波検査、細胞診

今日は、予約の時間が迫っていたのでバスで病院へ。

超音波室前で待っていると、月曜日に待合室で会った、去年乳がんの手術をしたと言ってた人が検査室から出て来た。お互い気付いて挨拶する。私より5〜6歳年上で、とても明るく元気な様子だった。

すぐに順番が来て、白衣を着た女優さん並の美人の女性に案内され、カーテンで仕切られた中へ入る。上を脱いで台の上で横になって待っていると、その美人女性が入って来た。
「じゃ、右手をおでこに持っていって下さい」
と、検査を始める。しばらくの間、しこりの辺りにスキャナーを滑らせてから、
「大きさにはずっと変化無いんですか」
と聞いてくる。
「去年頃からだんだん大きくなってきてて、今は倍位です」
「先生にも診て貰うので、ちょっとお待ち下さい」
と出て行ったかと思うと、すぐにN先生と共に入って来る。早速N先生がスキャナーを当てて診ていく。そして、
「ああ......」
と呟いた。
「ちょっとねぇ、良性の腫瘍にしては血流が多過ぎるんでね......」
一瞬ポカンとなる。えっ、血流は無かったんじゃ......
「これは悪性の疑いも否定出来ないので、細胞採らせて貰いますよ。ABCね」
と、一緒に入って来ていた看護師の制服のもう1人の女性に声を掛ける。
「ちょっとチクッとしますよ」
と言って、注射器でしこりを刺す。イギリスでしたのと同じだ。看護師に手渡される注射器を見たけど、中身が液体なのか違うのか、良く見えなかった。

「もしかしたら、言ってた Core Biopsy をすることになるかもしれません」
と、N先生。
「じゃあ、外でお待ち下さい」
美人先生に言われ、検査室から出て外の椅子に座る。しばらくしてから、又名前を呼ばれる。
「先生からお話があるので、こちらへどうぞ」
と、超音波室と隣接した小部屋に通される。もう結果が出たんだろうか?

「まずは、ですね。しこりの状態を詳しく見たいので、CT検査をします。その時造影剤を使うので、この書類を読んで、同意したらここにサインして頂けますか」
と、書類を渡される。じゃあ、更に詳しい検査、ってことか。書類には、造影剤の副作用等について書いてあり、同意書が添付されている。ざっと読んでサインすると、N先生は電話を取って話し出す。
「Nです。CTですけど、一番早くていつ空いてますか。2週間 ...... 6月7日ご都合いかがでしょう?」
と私に聞いてくる。
「いいですけど、生理中になる思うんですが(-_-;).......」
「それは全く関係ないです。予約センターにこれを渡して、CT の予約を取って下さい」
と、用紙を渡してくれる。CT検査はして、Core Biopsy はしないんだろうか、と思い聞いてみると、
「細胞の結果が土曜日に分かるので、それからね。土曜の午前中に、外来へ来て下さい」
と言うことだった。

予約センターへ向かう時、貰った用紙を見てみた。「疾病名」の欄があって、そこに、

「右乳がん」

と書いてあった。 ......

でも、まだ検査結果出てないのよね?きっとCT の予約を取るのに、何か病名を書かないといけないんだろう。それで「乳がんを疑う」って意味で書いてるだけでしょ?

歩いて帰る道々で、先生の言ったことや口調を何度も思い返した。「悪性の疑いも否定出来ない」と言ってた。「疑いも否定出来ない」って......? CT予約用紙に書いてた「乳がん」って、まだ決まった訳じゃないでしょ ......?それに、「血流が多過ぎる」ってどういうことだろ?前の超音波の結果は、血流なしだったのに。マンモグラフィーであんなに強く挟んだから血流が多くなった、ってことはない? ......

なんて、ああでもないこうでもない、と結果が分かる前に色々憶測してしまうのは、私の悪い癖だ。土曜日まで待つしかないのは分かってるんだけど ......

本日の支払い: 3,230 円也。
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夕方、イギリスにいる相棒から電話が掛かって来た。月曜に病院に行き、今日超音波検査をすることは、メールで知らせてあった。

どうだった?と聞く相棒に、
「よく分からない ......何か気に入らないことがあるんやって。細胞も採った。イギリスでしたのと同じ検査。土曜日に結果聞きに行く」
「何?気に入らないことって」
「しこりに血流があるらしいわ。良性の腫瘍に、血流は余り無いみたい」
と、それだけ言った。

あちらでも、相棒のお母さんが病院に入っていたりして色々大変で、あまり心配掛けたく無かったんだけど、もしも「がん」だったら、いきなり言うよりは、ワンクッション入れておいた方がいい、と思った。

その日、友人の一人からも電話があった。もう一人の友人と3人で食事をしよう、ということになった。その頃にはもう結果が出ている。何事も無く楽しく食事出来ますように。

        
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2005年5月28日(土)  細胞診検査結果、採血

朝からいい天気。でも、一人で結果を聞くのが不安で、母に一緒に来てくれるよう頼んだ。
「一緒に来て下さいって言われたの?」
と、不安そうに聞くので、
「そうじゃないけど、一人で聞くのはちょっと心配だから」
と、答える。母には、悪性疑いが少しでもあるとは言えなかった。 気分を変えたくて、病院までの坂道を二人して歩く。いい天気だけど、ちょっと暑かった。

診察待合室に向かう途中、去年手術したあの女性に、又バッタリ会った。
「結果聞きに来たの?」
「はい......心配なんで母に来て貰いました」
と言うと、
「大丈夫よ〜!」
と、背中をバチンと叩かれた。ホント明るい人だなー。待合室に着いてから、
「さっきの人、去年手術したんだって」
と、母に言うと、
「本当?明るい人やねー」
おかげで大丈夫な気がしてきた。でも、待っている間文庫本を読もうとすると、ドキドキして落ち着かなかった。

1時間半程待ってから、名前を呼ばれた。
「お早うございます、宜しくお願いします。母です」
と、紹介すると、
「こんにちは。あ、椅子ちょっと待って下さいね」
と、横の方からもう一脚寄せてくれる。先生の声が明るく聞こえて、あ、これは大丈夫かな?と思う。

先生は書類を横目で見ながら話し始めた。
「右乳房の外側斜め上にしこりがあって、マンモグラフィーと言うレントゲンと、超音波、それから針を刺して細胞を調べる検査をしました」
と、これは母への説明だろう。
「映像からは良性悪性五分五分だったんですが、細胞診で、悪い細胞がはっきりと出てますね......」
「......」
「超音波でも血流が多く見られて、ほぼ悪性に間違いない、という診断です」
「あの......2ヶ月前には、血流は無かったんですが......」
と、やっとそう言うと、
「2ヶ月前に、私は診てないのでね......ただ血流が多いということは、進行しているってことですからね」
「......」
隣の母が、はぁーっと大きなため息をつくのが聞こえた。

「それで、これから治療をしないといけないんですが。りまこさん、お仕事は?」
「今はしてません。これから探そうと思っていたところなんですが......」
「いきなりこんなこと言われて、驚かれてると思いますが。これに治療のことや、色んな情報が書かれていますので、よく読んでみて下さい」
と、薄い冊子を差し出す。表紙に「乳ガン」という文字が見えた。
「それで、......全身の状態を調べる為に、いくつか検査して貰います。お腹の中を見るエコーと、肺と肝臓の CT 。一緒にしこりの詳しい状態も見ますので」
と、超音波と CT の予約用紙らしい紙を取り出す。転移してるかどうかの検査なんだ。肺や肝臓という臓器の名前が出て来てドキッとする。
「あ、CT は再来週にもう予約してますけど」
「ああ、してたね。シンチは......これ高いんですよね。骨が痛むことはあります?」
「骨、ですか?生理中に腰痛はありますけど」
「じゃ、一応しときましょう。今日は採血して帰って下さい」

私は、万が一こういう事態になったら言おうと思っていたことを言った。
「あの、もし何か悪いことがあっても、全て私に話して頂けますか」
「ええ分かりました。話します」
「そんな、先生。まだ若いのに......」
と、母が今にも泣き出しそうな声で言う。
「でもそうしないと、ちゃんとした治療は出来ませんのでね」
と、先生。

診察室を出て、看護師さんから指示を受ける。まず採血、それから検査の予約2件。又戻って来て検査いつ取れたか言って、診察の予約。はー、早速面倒だなぁ。血を採るのは何年か振りだった。

検査予約は、エコーは来週に取れたんだけど、骨シンチは系列病院での検査となり再来週、CT 検査の翌日と言われた。
「その前の日に造影剤入れるんですけど、検査に支障は無いですか?」
と一応聞いてみると、電話で問い合わせてくれた。
「問題無いそうです。同じ日にすることもありますからね」
はぁ、そういうもんなんだ。

本日の支払い: 4,830 円也。
−−−−−−−−−−−−−−

帰り道、母が言った。
「大丈夫やからね。諦めたらダメやからね」
私は、もしかしたら悪性かも、と少しは心の準備があったけど、母にはいきなりだったのでショックも大きかっただろうな。でも落ち込むのも早いけど、立ち直るのも早い母。私もショックはショックだけど、正直まだ実感が湧かない。それにもう一つ問題がある。

「お父さんには言わん方がいいよ」
実は父は、10年程前にうつになり、ここ何年かでやっと回復してきていた。ところが一昨年のちょうど今頃、母の弟がくも膜化出血で倒れた時、又悪化して大変だったのだ。今はかなり落ち着いているけど、私が乳がんだと聞いて、又同じことになるのが怖かった。今日も家を出る時、父にはショッピングに行く、と言って出て来ていた。

「私もその事、どうしようかって思ってたんやけど」
「又前みたいになったら、大変やんか」
今突き付けられている問題で精一杯なのに、その上、父まであの時みたいになったら......結局父にはしばらく黙っていることで、意見が一致した。そのまま家に帰るとドーンと落ち込みそうだったので、結局その足で二人してショッピングに出掛けた。

家に帰ってから気が付いた。ああ、相棒にも言わないと。気が重いなぁ......電話は日曜にしてくれることになっている。メールで、どうだった?と聞いてくれていたけど、直接話した方がいいだろうな。結局病院のことは一切書かずに、返事を出した。

その日は眠れるかなー、と思ったけれど、いつも通りぐっすり眠れた。私って結構、神経図太いのかも(^_^;)。

        

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2005年5月29日(日)  セカンド・オピニオン?相棒に告白

次の日、電話で友達と話し込んでいた母が電話を終えて、私の部屋にやって来た。
「あのね、○○さんの娘さんもしこりがあって、乳がんって言われて手術しないとダメって言われたんやって。それで知り合いの紹介で、個人でしてるクリニックに行ったんやって。そしたらそこでは良性って言われたって」
はぁ?そんなことあるん?ちょっと信じ難い話やけど......
「そこのクリニックで診て貰ったらどうやろうか......」
「......」

何と言っていいのか分からなかった。母は、もしかしたら何かの間違いなんじゃないか、という一縷の望みを抱いているみたいだけど、私の中では、もう乳がんだと諦めていた。でも一方で、しこりに前は血流が無かったのに、この前の検査ではあったことが引っかかっていた。マンモグラフィーでギュウギュウ板で挟んだからじゃ...と根拠の無いその考えが又浮かぶ。でも、細胞診では「はっきり悪性」と、出ていた。しかし、この細胞診も100%では無いようだ。僅かながら、間違った診断がされることもあるそうだけど、調べた限りではそれは悪性が良性に間違えられる場合で、その反対ではない......グルグルと色んな考えが、又頭の中を回る。

「そのクリニック、どこなのか聞いてみようか?」
と言う母に、そこで診て貰ったところで、悪性が良性に覆ることは無いでしょ、と頭半分では分かっていたのに、
「じゃ、聞いてくれる?」
と、思わず言ってしまった(^_^;)。

結局私も母と同じ。あんなに食事とか生活習慣とかに気を付けてたのに、自分ががんになんてなるわけない、とまだ受け入れられないでいる。何かの間違い、ってことも本当はあるんじゃない?

しばらくして母が渡してくれた、クリニックの名前と電話番号を書いた紙を見ながら考える。診て貰って、もし今度は良性、って言われたとしたら?どっちを信じるの?一度悪性と出たのに、ああ良かった、で済ませられるわけがないでしょ。

ああもうー、バカやなぁ。結局、昨日の診断を信じるしかないってことよね...... 母にもそう言うと、
「まあ、それはそうだけど」
と、一応は納得してくれたみたいだった。せっかく聞いてくれたけど、そのクリニックの番号は使わなかった。

夕方、相棒から電話が掛かってくる。ああ、このこと言わないと.....(-_-;)
「元気?」
「んー、そうでもない。そっちは?」
「まあまあ。病院には行った?」
「うん、行った」
「それで?」
「それがねぇ......がんだった」
一瞬、沈黙。
「......確かなんか?」
「悪い細胞がはっきり出てるって。それで、超音波とCT で他の所に広がってないか、検査する。それと、骨のスキャンも」
と、一気に言った。
「......その、先生は何て言ってたん?」
と、これは転移しているかどうかについてだろう。
「それは検査してみないと分からないでしょう」
「......セカンド・オピニオンを取ることは考えた?こっちじゃ、マンモグラフィーで何百件か誤診があったかも知れないってニュースがあった」
あー、こりゃ母の二の舞だ。
「それどういうこと?」
と、しかし一応尋ねる。
「映像見て判断する技師が、ちゃんとした資格を持ってなかったって。全部やり直しだって大騒ぎしてる」
「それは、何か悪い物が良性診断されたかもってことでしょ?逆の場合はどうかな。それにもし、別の病院で良性って言われても、どっちを信じるかって問題になるでしょ。もう先生の言ったこと信じるしかないでしょう」
と、これは自分にも、もう一度言い聞かせる。
「......検査はいつ受けるん?」
「超音波が来週で、CT と骨のスキャンが再来週」
「で、結果はいつ出るの?」
「その次の週の月曜日」

その後、相棒のお母さんのことを聞くと、今の病院を出なくてはならないらしく、別の病院を探さないといけないらしい。本当に、そんな時にこんな話、申し訳ない......


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