乳がん治療手記9

タキソテール2回目

2005年7月21日(木)   恐怖の朝、カツラデビュー、血液検査と診察

今朝起きて仰天した。何と枕が、凄まじい量の抜け毛で真っ黒になっていた。敷布の枕があるあたりにも抜け毛が積もっている。文字通り、自分の抜け毛に「埋もれて」寝ていたのだ!

火曜に脱毛が始まってからはブラッシングもせず、シャンプーもせずできて、頭が痒くなってもかくのを我慢していたのが、昨夜寝ている時にとうとう痒さに負けてかきむしってしまったらしい。ホント、

ぎゃーーーー!!

ってなもんで、その有様を見た時の恐怖たるや、それこそ、朝目覚めた寝床に、自分の愛馬の生首を発見したウォルツの驚愕もかくや(「ゴッドファーザー」より^_^;)という程だった。

もうこうなってしまったらしょうがない。ゴミ箱の前に座り込んで、ブラシで髪を梳かしていった。いやーもう抜ける抜ける。ブラシに絡まった大量の髪をゴミ箱に入れ又ブラッシングをする、というのを何度も何度も繰り返す。あーダメだコリャ。いつまで経っても終わらない。気が付けば、ゴミ箱の中に大きな鳥の巣みたいな髪の毛の塊が出来ている。

スゴイ、こんなに抜けたの?

恐る恐る鏡を覘くと......

あれ?そんなに変わらない?

でもよく見ると、生え際やテッペンがかなり薄くなっている。とにかく痒くてたまらないので、お風呂場でシャンプーする。流すお湯が抜け毛で真っ黒け。流しても流してもそれがおさまらない。適当に切り上げて、水を切る。その感触からして、ああ、もうかなり少なくなってるなぁ、と分かる。排水溝の抜け毛を集めると、手の平一杯程になってずっしり。頭をバスタオルで拭くと、今度はタオルに抜け毛がごっそり。そこら中に抜け毛を撒き散らしながら形だけ拭いて、そして鏡を見ると......

「ありゃ〜〜......」

泣くに泣けないその姿。アタマの薄くなりかけたオランウータンみたい。いつかはこうなるとは分かってたけどね、まだあと1週間位は大丈夫だと思ってたのに〜。ああ、カツラ早目に買っておいて良かった......(^_^;)


今日は血液検査の日。炎天下の中、初めてカツラを被って出掛ける。アツー!(@ o @;)。 白血球は何と9600まで上がっていた。
「すごーい!」
と感心して声を上げる私に、
「白血球は注射ですぐに上がりますからね」
とI先生はとてもクール。
「熱は下がりましたか」
火曜日の夜に又38度になったけど、昨日と今日でやっと37度台になっていた。
「......やっぱり次回から量減らしましょ」
ということで、75mg/m2から60mg/m2に減らすことになった。こういう場合、大体25%減らすことになっているそうだ。

本日の支払い: 250 円也。
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ん?血液検査したのに安くないかい?ま、いっか。

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2005年7月23日(土)   カツラで外食

今日は両親と近所のレストランに出掛けた。病院へ行く時はカツラの上にニットの帽子も被ってたんだけれど、思い切ってカツラのみで試してみる。

でもちょっと失敗だったかも......

自分ではばれない、ばれない、と思ってたんだけど、思いがけずウエイターの凝視に遭ってしまった。注文を取りながら、そして料理を出しながらさりげなく、彼の視線は私のアタマの天頂あたりに注がれる。

やっぱりその辺りって不自然......(^_^;)?

うーん、やっぱり帽子も被った方がいっか......


2005年7月25日(月)   相棒来日決定

相棒から電話があった。8月13日の飛行機が取れたそうだ。

いつも飛行機の中で風邪を貰って来るので、次回タキソテール投与後、私の白血球が回復するお盆あたりがいい、と注文してあった。

相棒が側に来てくれるのは嬉しいんだけど、悩む事柄もある。二人でどこに暮らすか、という問題。いつもは、相棒が日本にいる間はアパートを借りていた。

今回もそうしていいんだけど、日本語を話せない相棒と二人だけになって、私に何かあった時どうするのか。先月みたいに救急車を呼ぶ、なんて事態に又なったら......と、母が一番気を揉んでいる。それに、アパートを借りるというのは経済的にもちょっとキツイ。ただでさえ高額な医療費が掛かっている上、現在貯金をくずしながら生活しているので。今は親の好意に甘えていたい、というのが本音だ。

近くで一人暮らしをしている弟の部屋が空いているので、使って貰いよ、と両親は言ってくれているのだけれど、前から相棒はうちの実家に1泊たりともしたがらない。

両親の意向を伝えても、案の定、
「好意は嬉しいけど、一度そうしてしまうと良い関係が崩れてしまうから」
と頑として同意してくれない。まあ、逆の立場だったら私だって相手の親の居る実家に泊まるのは、気を使って疲れるだろうな、とは思う。

「当面、ユースホステルにでも居る」
と、相棒は言っている。ま、来日してから決めればいいか。先日朝起きたら抜け毛に囲まれていた話をしたら、
「良かったー、その場に居合わせなくて」
......ってねー(−_−;)。
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2005年7月28日(木)   点滴はどちらの腕でするか、タキソテール2回目

まだまだ先だと思っていたのに、あっという間に2回目投与の日がやって来た。今日の白血球数は7700。ちょうどいい感じちゃう?これなら少々減っても大丈夫やね。

「髪の毛は、抜けてきました?」
「もうほとんど抜けました〜(^ ^;)」
「しこりに変化はありませんか。小さくなったとか、柔らかくなったとか」
「いえ、全然無いですー」
「ちょっとエコーで診てみようか」
結果は、
「心持ち小さくなってるかなー」
心持ち、か......
「もっと、シュンってなって欲しいんだけどね。ま、2回目3回目で小さくなる人もいるから、続けて頑張りましょう」
「はい......」

そうだ、今日は聞くことがあったんだ。

「点滴前回は左にしたんですが、手術する方に点滴したら、リンパ節取った後にリンパ浮腫になり易くなる、ということはありますか」

前回は看護師さんが、「左に点滴ですねー」と、自動的に患側でない方を使う、という様子だった。手術でリンパ節を取った後は、リンパ浮腫防止の為患側に針は刺せない。点滴・採血は全て左の腕ですることになる。同じ所に針を刺し続けると、血管が脆くなったり硬くなったりする、と聞いている。手術の前はなるべく右を使って左は術後に取っておいた方がいいんじゃ......でも、それがリンパ浮腫の原因にはならないか、確認したかったのだ。

「術前にする分には、全く関係無いですよ。リンパ節を取った後患側で炎症を起こしたりすると、リンパ浮腫になる危険がある、ということだからね」
「そうですか。じゃ、なるべく左は手術の後の為に取っておきます」
「今回から60mgでいきましょう」
と、コンピュータにデータを入れ始めた。
「あ、体重が1kg位......」
「減りました?」
「いえ、増えました〜(^_^;)」
と、体表面積を計算しなおして貰う。 食べた後に量ったらちょっと重くなるくらいで、そんなに体重が増えた訳じゃないんだけど、少しでも投与量を多くしたかったので。ちょっとセコイ?胃の調子が相変わらず良くないので、ムコスタ錠も処方して貰った。

化学療法センターで、今日も体重測定。変化無し。

待っている間、お腹の大きい看護師のSさんが、前回の副作用を尋ねて書類に書き留めた。熱が1週間近く続いたことを言うと、
「それはしんどかったでしょー。この手はどうしたんですか」
ブツブツがビッシリできた両手の甲は、今は皮がベロベロ剥けていた。
「浮腫みはどうですか」
「指とか足がちょっと浮腫みますけど、朝には大抵ひいてます。あのー、予防策として、利尿作用のある中国茶とか飲んでもいいんでしょうか」
「それは構いませんよー。利尿を促す薬を処方する場合もありますからね」
よし、杜仲茶でも始めるか。

針を刺すのは、お願いして右にして貰った。前回と同じく、点滴しながら弁当を広げる。今日は、お弁当箱持参。家を出る前にお弁当を詰めていると、
「ピクニック気分やね」
と父に言われてしまった(^_^;)。父は一体、どう思ってるんかな。ショックだろうからハゲかかっている頭は見せてないけど、家ではバンダナをしている。母が、
「今、薬でしこりを小さくしている。その薬で髪が薄くなってきている」
と、病名は隠して伝えてくれたそうだけど。

本日の支払い: 28,150 円也。
本日のお薬代:    680 円也。
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2005年8月2日(火)〜11日(木)   微熱、血液検査と診察、腹痛続く

2日(火)。指が又痒くなって、湿疹がぽつぽつと数個出てきた。慌てて塗り薬を塗る。午後、何かだるいので熱を測ると37度ちょっと。又白血球が下がってきてるのかな。それと、爪が変形して、表面がボコボコになってきた。

3日(水)。前回から3週間しか経ってないのに、又生理が来る。指の湿疹は昨日と変わらず、広がる気配無し。ホッ。

4日(木)。投与1週間後の血液検査の日。白血球は3600。これなら大丈夫、ということで早々に切り上げる。外来がかなり混んでいたので。

5日(金)。胃の不調が続いていたのが、朝からキリキリ痛み始める。今まで夕食後のみに飲んでいたムコスタ錠を毎食後飲むことにする。

9日(火)。友人2人と夕食に出かける。友人達は、カツラには最初気が付かなかったみたいで、
「全然分からんわー」
と、言っていた。帽子を被ってツムジ辺りを隠せば、バレないみたい。食事は、脂っこい料理を無理して食べてしまった。

11日(木)。胃だけでなく、お腹全体が痛くなってくる。歩くと一歩踏み出すごとに、ズンズン、と痛みが響くようになる。


2005年8月12日(金)   ハゲ頭の状況

脱毛が始まってからの状態は、

頭の薄くなりかけたオランウータン

「ロード・オブ・ザ・リング」のゴラム

で、今は、「天才バカボン」のレレレのおじさん

という具合かな。突然脱毛が始まって、レレレのおじさんになるまではあっという間。不思議なことに、わずかに残った髪は引っ張ってもなかなか抜けない。

ハゲた自分の姿にも慣れてきた。時々鏡の前で見入ってしまうこともある。

思ったより、絶壁でもないやん。

とか、

お、こんな所にホクロが!

とか、ハゲてみないと分からない発見もある。意外なのは、

頭皮って、結構柔らかいやん。

ということ。今まで、ツルツル頭の人達を見て、もっと硬い物だと思っていた。実際触ってみると、フワフワとスポンジのような感触がある。父が不在の時頭に何も着けないでいると、母も私の頭を触って、
「わりと柔らかいんやねぇ」
と言う。

明日は、相棒がやって来る。どんな反応を見せるのかなー。いつものつまらんオヤジギャグで笑かしてくれるかな。


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2005年8月13日(土)   相棒来日

晩御飯を食べてから、関空まで相棒を迎えに行く。会うのは3ヶ月振り。毎日Eメールか電話で連絡取っているので、そんなに会ってないのか、という感じだけど。

到着時間も遅いから取りあえず実家に1泊すれば?と、もう一度押したら、結局折れてくれて、実家の方に来てくれることになっていた。

到着時刻から1時間近くも経ってやっとゲートから出て来た。どういう訳か、日本の税関では必ずと言っていい程、荷物を開けるように言われるのだ。今回も開けさせられたらしい。私の頭を見てまず、
「これカツラ?全然分からん。すごく自然」
帰りのバスの中では、
「頭の上に金タワシを乗せるのが流行なん?」
出た〜、オヤジギャグ!くだらないギャグでも、笑かしてくれるのはありがたいけど。ちなみに、被っているニットの帽子が、銀メッシュが入っていて金タワシに見えなくもないけどね......

電車の中で、又お腹が痛くなってきた。今日はずっと調子良かったのに。

家でバンダナに替えると、
「似合うやん」
とのお褒めの言葉。お世辞でも嬉しい。自分でも、髪があるより似合うんじゃない?なんて思い始めてたんだけど、見慣れてきたせいでもないのかなー。

その後、
「見せろ見せろ」
と、バンダナを引っぺがしての第一声は......
「おおっ......赤ん坊みたい!」
そして、
「ららららら〜〜(子守唄、らしい)」
......って、又しょうもないオヤジギャグを(−_−;)......相棒のギャグで、結構免疫力上がりそう。


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